
ナイロン生地の特徴とは?ポリエステルとの違いや各メリット・デメリットも解説!

衣類やバッグ等の素材表記でナイロンやポリエステルという表記を見かける事がよくあるかと思います。
どちらも良く使われる素材ですがよく似ているので違いがよく分からないという方も多いのではないでしょうか?
この記事では、ナイロン生地とポリエステル生地の違い、それぞれの特徴について詳しく説明します。
ナイロンについて

○ナイロンとは
・ナイロンとは・・・
主に石油を原料とする「ポリアミド」とよばれる樹脂素材(合成樹脂)から作られた世界で初めての合成繊維のことです。
「鋼鉄よりも強く、クモの糸より細い」というキャッチコピーで女性用のストッキングに使われたのが始まりで、伝線(run)しない「norun(ノーラン)」に由来して「nylon(ナイロン)」という名前になったそうです。
○ナイロンの特徴とメリット
多くのスポーツウェアやアウター、その他にもバッグや釣り糸などにも使われているナイロンですが、なぜここまで多くの製品に使われているのでしょうか?
その理由は以下のメリットにあります。
~機能面~
・摩擦に強く耐久性がある
→この後紹介する同じ化学繊維のポリエステルも摩擦に強いとされていますが、摩擦の観点ではナイロンの方が強度が高く、その強度はコットンの約10倍とも言われています。
・天然素材に比べ圧倒的に軽い
→コットンやウールなどといった天然素材と比べても圧倒的に軽いのもナイロンの特徴の1つです。
・弾力性がある
→伸びがあり柔らかいうえ、引っ張ると元に戻ろうとする力も強くこの特徴を生かしてスポーツウェアにも多く使用されています。
また伸びがある分破れにくいのも特徴の1つとして挙げられます。
・吸水性が低く濡れてもすぐに乾く
→水を寄せ付けない特徴がある為雨合羽やアウターに使われる事もあります。
・耐寒冷性に優れている
→水をはじき風を通さないので、外気が隙間から入ってきたりアウター内の空気が外へ逃げてしまう事もないのでナイロン素材のアウターを羽織るだけでも寒さを大幅にしのぐことが出来ます。
~手入れ面~
・汚れが落ちやすい
→ナイロンは吸湿性が低いため、汚れが繊維の表面にとどまるので簡単に洗い落とすことが出来ます。
・毛玉になりにくい
→毛玉の原因は摩擦で、生地がすれることで繊維が毛羽立ち毛玉になりますが、ナイロンは摩擦に強い素材なので毛玉がなりにくいと言えます。
・カビや害虫の影響を受けにくい
→カビや害虫は繊維内に含まれるタンパク質などを好みエサとします。しかし主に石油を原料としているためタンパク質などは含まれておらずカビや害虫が発生しにくいです。
・耐薬品性がある
→万が一汚れやカビが付いてしまった場合でも混合されている生地にもよりますが、一般的な中性洗剤か弱アルカリ性のものを使用して洗う事が出来ます。
※酸性には弱いので注意が必要です
○ナイロンのデメリット
・熱に弱い
→型崩れしにくい程耐久性は優れているのですが、ナイロンは熱に弱く乾燥機やアイロンなど使用してしまうと簡単に変形してしまいます。
・乾きやすいが吸湿性が低い
→水を寄せ付けない特徴がある反面、逆に蒸れやすいといったデメリットもあります。
・静電気が起こりやすい
→化学繊維は天然素材と比べ静電気が起こりやすい素材です。
電気の帯びにくい綿や麻といった素材のアイテムと組み合わせて使うと完全にとはいかないものの、静電気は発生しにくくなります。
・黄ばみ、色褪せが起こりやすい
→ナイロンは紫外線やストーブから発生する酸化性のガスなどに弱く、それらに長時間さらされていると繊維が酸化し黄ばみや色褪せてしまいます。また汚れが残っているままの長時間放置した場合でも生地が酸化する原因になってしまいます。
メリットとデメリットを踏まえたうえで、お手入れ方法も紹介します。
○ナイロンのお手入れについて
洗濯
基本的にナイロンは、自宅で洗濯ができます。
洗剤は中性洗剤か弱アルカリ性のものを使用して下さい。
しかし、他素材が混ざっている生地は洗濯方法が変わる場合がありますので、必ず品質表示タグを確認してください。
これはナイロン以外の素材にも言える事ですが、少しでも心配なようでしたら信頼のおけるクリーニング屋さんにお任せするのが一番確実だと思います。
乾燥
熱に弱い性質から乾燥機は使わず、黄ばみやすい性質から日陰干しがオススメです。
濡れてもすぐに乾くといった特徴から日陰でも乾きが遅いという事はありません。
本当はあまり使わない方が良いですが、もしアイロンをかけるとなった場合は低温で当て布を使用してかけてください。
保管方法
黄ばみやすいデメリットがあることから保管の方法にも気を付けていきたいナイロン素材。
洋服用の防虫カバーを使う事は避けた方が良いです。
防虫カバーとナイロン生地が触れていた部分が黄ばんでしまいます。
洋服用の防虫カバーには透明度を保つ目的で使用されている「酸化防止剤」というものが含まれており、それに酸化窒素ガス(主にストーブの燃焼ガスや車の排気ガス)が作用して黄色く変色させてしまいます。
ナイロン素材はもともと虫による被害も少ないので防虫カバーを付けなくても大丈夫です。
クリーニングに出して戻ってきた時に防虫カバーが付けられている事もありますが、それも外して保管して問題ありません。
また直射日光の当たるところや湿度が高い場所、汗や食べこぼしが付いたままの状態でも黄ばみは起こりやすくなってしまうので注意が必要です。
○ナイロン生地がよく使われているアイテム


ナイロンは伸縮性と耐久性に優れており、比較的着色のしやすい素材なのでスポーツウェアやバッグ、ストッキングなどといったアパレル用品を中心に広く使われています。
その他にも・・・
・耐寒冷性に優れ、乾きやすいことからアウターやレイングッズに
・耐久性の高さ、素材の軽さから靴にも使われており、なんとサッカースパイクのソールにも使われています。


また余談ですが衣類以外でも釣り糸、テニスのガット、ギターやハープといった楽器の弦に使われていたりもします。
ポリエステルについて

○ポリエステルとは
世界で最も生産量の多い合成繊維で、石油など化学的に合成された原料であるペットボトルと同じ素材のPET(ポリエチレンテレフタレート)で作られた素材です。
ポリエステルも原料をたどるとナイロンと同じく石油などの化学的に合成された合成繊維の一種です。
○ポリエステルの特徴とメリット
世界で最も生産量の多い素材という事もあり世界中のアパレルアイテムの中でもポリエステルで作られたものはかなりの割合を占めています。
その理由は以下のメリットにあります。
~機能面~
・弾力性がある
→形状を保とうとする性質がありシワ、縮み、型崩れしにくいといった特徴があります。
・丈夫で軽い
→ナイロンと同様に天然素材と比べてもとても軽いといった特徴があります。摩擦の耐性はナイロンに比べると少し弱いですが、切れにくく耐衝撃性もあるので丈夫な素材といえます。
・濡れても乾きやすい
→吸湿性が低く、繊維の中に水分が入りづらい構造をしているので乾きやすく、長時間さらさらとした肌触りを維持することが出来ます。
水分を吸いにくい為、肌着やTシャツの汗染みを抑える事にも繋がります。
~手入れ面~
・化学繊維の中では比較的熱に強い
→ポリエステルは化学繊維の中では熱に強い素材で洗濯する際に乾燥機やアイロンを使用する事が可能です。とはいえ「化学繊維の中では比較的強い方」という程度なので、アイロンを使用する時は当て布をしたり設定温度に注意して使用し、乾燥機は雨の日や急いで乾かしたいときに使うくらいにしておいた方が良いでしょう。
・日焼けが起こりにくい
→ポリエステルの繊維自体に紫外線を90%以上も吸収する性質があり、それくらい紫外線や光に強く長期間触れていても劣化しにくく日焼けが起こりにくい素材です。
ポリエステルは紫外線や日の光が肌に当たる前に吸収してくれるので日焼け対策にも有効です。
形状を保とうとする性質があったり、摩擦に強いことからワイシャツやブラウス、フリースなどの衣類全般に使われています。
そして価格も非常にリーズナブルなものが多いのもポイントです。
○ポリエステルのデメリット
・静電気が発生しやすい
→ポリエステルもナイロンと同様に静電気が起こりやすい素材です。静電気が苦手な方は電気の帯びにくい綿や麻などのアイテムを活用するのがオススメです。
・毛玉ができやすい
→静電気が発生しやすいので毛玉もできやすいです。ナイロンは摩擦に強いので出来にくいのですが、ポリエステルはナイロン程は強くはないのでナイロンと比べると少し配慮が必要な素材といえます。
・汚れやすい
→ポリエステルの繊維には汚れや匂いを吸収するといった性質があり、着用後や汚れてしまった場合は速やかに汚れを落とす必要があります。また同じ洗濯槽内の汚れによる再汚染が起きやすいので洗濯をする際注意する必要があります。
・乾きやすいが吸湿性が低い
→こちらもナイロン素材と同様に水を寄せ付けない特徴がある反面、逆に蒸れやすいといったデメリットもあります。
・耐火性が低い
→前述の通り「熱」には比較的強いですが、ポリエステルの原料は石油なので「火」そのものには弱く非常に燃えやすい素材となっています。
ポリエステル100%の服に火がつくと、すぐに燃え出してしまうのでキャンプやバーベキュー等での着用は避けるか、燃えにくい素材の羽織りでガードするなど工夫が必要です。
価格帯も比較的リーズナブルな分、気を付けなければいけないデメリットがいくつか・・・
そういったことも踏まえてポリエステルのお手入れについてもご紹介します。
○ポリエステルのお手入れについて
・洗濯
ポリエステルもナイロンと同様に自宅での洗濯が可能な素材です。
ですが、念のためにも洗濯絵表示を確認してから洗いましょう。最近は、ポリエステルでも水洗いができない物もあります。
またビーズなどの装飾が付いている場合は中性洗剤の表示が書かれていることもありますので注意が必要です。
ポリエステルのデメリットにも挙げた通り同じ洗濯槽内の汚れによる再汚染が起きやすい素材であるため
・汚れのひどい衣類と一緒に洗濯しない
・シミや部分汚れは洗濯をする前に、下処理で除去しておく
などといった事が大切です。
汚れが水分と一緒に出ていきにくくイヤなニオイも残りやすいです。洗濯のすすぎの時に柔軟剤を使うことで、ニオイの防止や静電気の発生を抑えることができます。
・乾燥
合成繊維の中では比較的熱に強いポリエステルですが、高温すぎたり長い時間の間乾燥機を使ったりすると縮んでしまいます。
またアイロンをかける際も当て布をしないと縮んでしまう原因になります。
・保管方法
ポリエステルもナイロンと同様に綺麗な状態で防虫カバーはせずに直射日光の当たらない場所での保管が最適です。
しかし何度も紹介した通り汚れがつきやすかったり、イヤなニオイも付いてしまうと残りやすかったりするのでしっかりと汚れを洗ってから保管する事が大切です。
○ポリエステル生地がよく使われているアイテム


軽量で丈夫なポリエステルは、速乾性が高いことからスポーツ用のTシャツやユニフォームの他、登山ウェア、シャツやセーター、バッグ類などの生地としても多く用いられています。
また最近では和服にも使われている事も増えてきています。正絹の着物は生地が傷みやすく、タンスにしまっているだけで色落ちしてしまうこともありますが、強い繊維で色落ちしにくいポリエステルを使う事によって着物の弱点を補う事ができます。
ナイロンとポリエステルの違い
○ナイロンとポリエステルの比較
共通のメリット
・天然素材に比べ圧倒的に軽い
・弾力性がある
・吸水性が低くすぐに乾く
・耐寒冷性に優れている
・カビや害虫の影響を受けにくい
・耐薬品性がある (ただしナイロンは酸性に弱く、ポリエステルはアルカリ性に弱い)
ナイロンの方が優れているところ
・伸縮性
・摩擦耐性
・汚れが落ちやすい
・毛玉になりにくい
ポリエステルの方が優れているところ
・衝撃耐性
・吸湿性
・耐熱性
・日焼けしにくい
共通のデメリット
・静電気が発生しやすい
・吸水性が低く乾きやすい反面蒸れやすい
・燃えやすい
○その他よくある質問
・ポリエステルとナイロンの見分け方
ナイロンとポリエステルは機能面はいくつか共通しているポイントがあったりと似ている素材なだけあって見た目だけでは判別が難しいです。
しかし肌触りの面では
ナイロン
・柔らかくなめらかで伸びのある肌触り
ポリエステルの肌触り
・コシがありながらもサラサラした手触り
・毛玉ができた場合はザラっとする
といった見分け方があります。
ご自宅にある衣類を素材ごとに触って比べてみても面白いかもしれません。
○混紡生地だとデメリットをカバーできる
ポリエステルは他の生地と混ぜて混紡生地にするとお互いの短所を補い合う事ができます。
吸収性は少ないけれどもシワになりにくい特徴のポリエステルと、肌ざわりがやわらかく、吸水性があるコットンの混紡生地は吸収性も良く、やわらかくてシワになりにくいような素材になります。
○デニールとは
ストッキングやタイツを穿く女性の方やアウトドア用語に詳しい方でしたら聞いたことある単語かと思います。
D(デニール)とは、繊維の太さを表す単位のことで、ナイロンやポリエステルなどの合成繊維では、このD(デニール)という単位が使用されています。
たとえば、「9000mに伸ばした糸が50g」だった場合、その糸は「50デニール」。「9000mに伸ばした糸が80g」だった場合、その糸は「80デニール」といったように糸を9000mに伸ばしたときの重さによって、デニールの数字は決まります。
femtオススメ
ナイロン、ポリエステルを生かした
アイテムをご紹介
まとめ
今回はナイロンとポリエステルそれぞれの特徴や違い等をご紹介致しました。
身近な素材ですが意外と違いについては詳しく知らなかったという方も多いのではないでしょうか?
今後の商品選びの参考になりましたら幸いです。
最後までご愛読ありがとうございました!